狩撫麻礼と『花の街』

先賢がすでに述べたことであったらお許しを願いたい

『ハード&ルーズ』ファイル23「夢の刺客」は
『オールドボーイ』の原点とも言うべき作品だ。
そのキーは江間章子作詞・團伊玖磨作曲の『花の街』である。

この曲は、1949年にNHKラジオ「私の本棚」のテーマ曲として使われている。作詞の江間章子は
『夏の思い出』の作詞者としても有名だ。


七色の谷を越えて 流れて行く 風のリボン
輪になって 輪になって
かけていったよ
歌いながら かけていったよ

美しい海を見たよ あふれていた 花の街よ
輪になって 輪になって
踊っていたよ
春よ春よと 踊っていたよ

すみれ色してた窓で
泣いていたよ 街の角で
輪になって 輪になって
春の夕暮れ
ひとりさびしく ないていたよ


多くの人に愛される名曲であり、音楽の教科書にもよく載っている。
狩撫麻礼にとって『花の街』は、どんな曲だったのだろう。

1947年生まれの狩撫はどんなシチュエーションでこの曲に出会ったのだろうか。
上記の二つの話に共通しているのは物語の格となる登場人物が
小学生の時、音楽の授業でこの歌を歌っている(歌わされている)と言うことだ。

柿沼(『オールドボーイ』)も真島(『夢の刺客』)もこの曲を歌ったこと自体が
物語の全ての始まりになっている。

いわゆる団塊の世代にとって、この一曲が持つ意味、或いはニュアンスに
他の世代には感受出来ない何かがあるのだろうか?

以下は作詞者江間章子の言葉である。

「花の街」は私の幻想の街です。
戦争が終わり、平和が訪れた地上は、
瓦礫の山と一面の焦土に覆われていました。
その中に立った私は夢を描いたのです。
ハイビスカスなどの花が中空に浮かんでいる、
平和という名から生まれた美しい花の街を。
詩の中にある「泣いていたよ 街の角で……」の部分は、
戦争によってさまざまな苦しみや悲しみ
を味わった人々の姿を映したものです。
この詩が曲となっていっそう私の幻想の世界は広がり、
果てしなく未来へ続く「花の街」となりました。
(教育芸術社「中学生の音楽2・3下」(平成17年3月検定済)より)


問題はこの曲を歌った登場人物がなぜ何れも自死を選ぶのかということである。
もう一つ。この歌を聴いた五島(『オールドボーイ』)は感動するのである。
クラスの中で陰気な感じの転校生であった柿沼の歌声に。しかしそのことを封印して生きる。
『夢の刺客』で歌った真島は吃音のある内向的な子どもだったが、
歌だけはうまくて当時の校長が真剣にウィーン少年合唱団に入れようかと思ったほどだというのだ。
まだある。柿沼も真島も地位も金も手に入れた成功者だということだ。

目立たず内気だった(しかし早くから自意識に目覚めていた)小学生が
音楽の時間テストなどで『花の街』を独唱する。
その子は大人になり成功を収め、小学生の頃の面影がないほどの
人生における強者になっている。
しかし、最後は自殺してしまう。まさに自らに殺されてしまうのだ。
この話のベースに流れ続ける曲、それがあの名曲『花の街』という設定だ。

これは問題提起に過ぎない。
この曲が狩撫麻礼にとって、また戦後の日本人にとってどんな意味を持つモノなのか
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