ロールズ『正義論 改訂版』新訳刊行記念 「社会と心の《正義》を求めて」

夕べ、紀伊国屋サザンシアターで行われた
ロールズ『正義論 改訂版』新訳刊行記念 「社会と心の《正義》を求めて」
に行ってきた。
構成は第一部に川本隆史氏の30分ほどの講演。
続いて第二部として 竹田青嗣氏と香山リカ氏を交えて、
司会 神島裕子氏で鼎談。

面白かった。折からマイケルサンデスの白熱教室ブームなどもあって
ちょっとした「正義論」ブームである。
先行き不透明なこの時代にロールズは読み返されるべきと思う。

第一部は、いしいひさいちの「現代思想の遭難者たち」に描かれた
ロールズをスクリーンに映しながら、基本的な解説。
ロールズが先の大戦でフィリピンで過酷な戦争体験をしたことと
戦後まもなく占領軍として広島に入った経験が
大きく影響しているのだと思う、と広島生まれの川本氏は言っていた。

第二部
竹田氏はロールズの重要性を認めた上で
ロールズがロック・ルソー・カントに依拠して論を展開している点に対して
「是非、ヘーゲルを取り入れてほしかった」と述べた。
カントの普遍的な利他主義ではなく
ヘーゲルの自由の相互承認、万人が自由になるためのミニマムルールを作るという
点を是非取り入れてほしかったと述べる。
ノージックやハイエクなどの名前も出る。ローティも。

香山氏は00年代をかなり分かりやすく、自分の立場を明確にして
過ごせたという話をしたあと09年から突然、わかりにくくなった、と述べた。
9・11や日韓ワールドカップでのプリナショナリズム、小泉竹中路線、堀江モン、石原慎太郎
などに対して自分の言うべきことはハッキリとあった。その中で護憲や死刑廃止、ナショナリズム反対
などを述べてきた。09年のオバマ大統領の登場と、日本における政権交代は自分のこれまでの
発言を追認する形で進むかと思われた。しかし、ここに来て何が正しいのか分からなくなる。
今回の尖閣諸島ビデオ問題も何が正しいのかハッキリしない。ティーパーティは草の根保守で
良いのか、悪いのか。これまでの軸では分けられない事態が出てきている、と述べた。

その後、川本氏から二人に質問があり、それに答える形でまた述べる。最後に質疑応答。

竹田氏は世界は民主主義と自由経済という枠組み以外のオルタナティブを求めるのは
難しい時代になった。人間の欲望は全て「承認」の欲望であるとヘーゲルは言ったが、
真剣に今の体勢の中で多くの「承認」を人々が得られるシステムを考えるべきだと述べた。

香山氏は、ロールズがクリスチャンだったのに著書で「神」を持ち出さなかったこと。
またよくある無条件の愛を与えるという「母」のイメージを使わなかったことに触れ
「神はあなたを愛しておられる」と一言で済ませても言い部分をこんな分厚い本を書いて、そうはしなかった。
日本は極端から極端に振り子が動くが、大きな物語の中での自己肯定は求められない以上
バランスをとって少しずつ進むしかないと述べた。

約2時間20分くらい。質疑は3人に絞った。
学術的に語るというより、哲学から竹田氏、精神医療の現場から香山氏という
特別に専門家でない人を招いてやった意図は分かったし、成果もあったと思う。

竹田氏の話も分かりやすかったが、香山氏の実生活レベルで平易な言葉で
語る内容は普通の人にもかなり「分かりやすい」ように聞こえる作用があるな、と実感した。

ロールズの正義論。8000円近くするのだが
一応地元の本屋で予約して買った。
「ナウシカ」とロールズという組み合わせ。
そういえば昔「ナウシカ」とノージックで一冊書いた人がいたな。
あれは面白かった。「ナウシカ」論の中では出色の出来だった。
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