甲府昭和高校演劇部「冒険授業にじかんめ」雑感

震災のため、県立文学館講堂で計画していた「山梨オープン」がお流れとなり
甲府昭和高校文化創造館 紫映館での縮小版公演
ゲストは今年度 北関東大会最優秀賞の秩父農工科学高校演劇部

13時30分から中村勉先生の挨拶があって
その後、秩父農工科学高校の「FREEZE FREEZER TIME」
30分幕間があって
甲府昭和高校の「冒険授業にじかんめ」
終了後に講評やら交流会があったらしいが参加せず

中村勉先生が人事異動で甲府南高校に転勤になるため
甲府昭和での最後の作・演出作品となった。
勤務年数12年。
その間、県大会11年連続出場。関東大会6回、
関東サマーフェスティバル3回、春期全国大会1回、
全国大会2回(「全校ワックス」「放課後の旅その他の旅」)出場を果たした。

作品名を順にあげると「ノー・ファール」「風の送り」「ACT.緑の地球を救え」「ある日、忘れものをとりに」
「とうしておなかがへるのかな」「クレタ島の冒険」「空飛ぶクレタ島の冒険」
「遠い声」「全校ワックス」「空飛ぶマクベス」「靴下スケート」「好きとか、そういうことじゃなく」
「前夜祭」「放課後の旅その他の旅」「甲府昭和のとぅらとぅら劇場」「冒険授業」「冒険授業にじかんめ」
の17本。計66回公演をした、という。年に5・5回も公演をこなしていたことになる。驚異的だ。

今日の「冒険授業にじかんめ」はそんな甲府昭和への思いのこもった作品だった。
部員もそれに応えて最後の「ケセラセラ」の合唱は感動的だった。

峡北時代に書いた「FAR!」「ACT!」「ACT!クレタ島の謎」という傑作に
この甲府昭和時代には数え切れない名作を積み重ねた。

個人的には、私も関わった「風の送り」が印象に深い。あとは「前夜祭」か。いずれも
再演されることのなかった、そしてこれからもないだろう作品である。
「FAR!」や「どうしておなかがへるのかな」「ある日、忘れものをとりに」「空飛ぶマクベス」のような
再演された芝居もある中で、二度と見られないだろう舞台が懐かしい。

中村先生がこのあと甲府南でどんな芝居を子どもたちと作っていくのかは
さほど心配してないが
甲府昭和がこれからどうなるのかは少し心配。
中村先生が赴任する前の昭和を知っているのでそう思う。
一生懸命やっているのだが、なかなか県大会に進めない。まして
関東大会にはコマを進めたことがない、演劇部だった。

中村さんの指導を受けた子たちがいるウチは中村芝居を継続するのか
それともまったく違う路線で行くのかはわからないが
いずれにせよ最初は違和感があるだろう。
しかし、問題は1年たち2年たって中村勉という指導者がいたことも忘れ去れていった時
昭和がどんな演劇活動をしているかだ。
船橋二和や船橋旭、稲毛高校など、一時期一世を風靡した学校は多い。
今、その名を関東大会で聞くことはないし、ある意味県大会でもないと思う。

その時、そこにいるメンパーでやりたいことを一生懸命にやればいい、ということだろう。
それは正論だ。
別に上位大会に行くことが大切なわけでもない。
しかし、私は想像する。
「昔、ウチらの先輩達、全国行ってたんだって。しかも準優勝だよ」
「信じられないね、どんな部活してたんだろう」
「ウチらとは違うだろうねー」
「ま、ウチらはウチらでガンバロー」
「オー」
というような会話が10年後、20年後されているだろうことを。
20年なんてあっという間だ。
私が北海道から山梨にきて初めて演劇部をもって関東大会に出てから19年がたった。
今その演劇部の子たちは、かつてその高校も山梨初の全国大会出場を果たしたことすら
夢のように思っているだろう。

感傷にひたろうというのではない。
私が言いたいのは甲府昭和の芝居は中村さんと生徒達がいたその時代のものであって
他の誰のものでもないし、まして伝統などというものは存在しない。
最高の「FAR!」や「ACT!」が峡北高校のあのときいた生徒と中村さんのものであるように。

そう思って「冒険授業にじかんめ」を見れば、懐かしの台詞が散りばめられ
メタ演劇をいつの間にか指向していた若き日の中村勉も忍ばれ
その中村さんの息づかいを理解しようという昭和の子たちの思いも伝わり
「ああ、ここにあと数年いたら、また全国の演劇ファンを喜ばす傑作を彼は書いただろうに」
という感傷にも囚われる。
そういう思いを形にできた中村さんと昭和の子たちは幸せなのだ。
転勤前に発表会ができる顧問などどこにもいない。

客席は私的にはやや不満で、県内で来ていた学校も一高や白根だけだったし
客席自体は埋まっていたが、なんとなく悲しい風景でもあった。
中村さんは今年50だ、初老だ(失礼)
あと10年たったら、山梨の高校演劇は崩壊する。
その前にあと5年で赤池先生や河野先生たちが引退する。
昭和で中村先生の指導を受けた人でだれでもいいから
高校教師になって現場に帰って来てもらいたい。
痛切に思う。

というわけで、芝居以外のことを書きすぎたが
中村先生、昭和高校演劇部のみなさん
お疲れ様でした。
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