「アナーキー・国家・ユートピア」

さて今日はノージックである。
東浩紀の「一般意志2.0」はローティについでノージックも取り上げており
この二人には共通点があり、それは彼の唱える「一般意志2.0 」に繋がるところがある
と述べていた。かなり大胆な発想だが、そこもスリリングで面白い(と言えば面白い)。

ノージックの「アナーキー・国家・ユートピア」はロールズの「正義論」に反論するために
書かれた。この二人が悉く対照的なのもとても興味深い。

「アナーキー・国家・ユートピア」も大変厚い本で、読了を挫折した記憶がある。
しかし、この本は決して退屈なものではなく、むしろ楽しい。
とても念の入った思考実験がつづくので、私などは途中で音を上げそうになるのだが
所々にとても気の利いた(ユーモアに溢れた)例が引かれていて
それを読んでいるとニヤニヤしながら先を読んでしまうのである。

1970年代には「自由尊重主義」と訳されることの多かった「リバタリアニズム」も
いまではそのまま用いられることが多くなった。
森村進の「自由はどこまで可能か」が講談社の現代新書で出てからもう10年近くになるが
その副題は「「リバタリアニズム入門」だったと思う。

「最小国家」は「ユートピアのためのフレームワーク」であるというとらえ方を
東浩紀はルソーの「憐れみ」や、東の言うところの「一般意志2.0」及び「動物」という観点から
読み直すことができるのではないか、というのがその主張であった。

さて、マンガ版「風の谷のナウシカ」論の嚆矢とも言うべき
稲葉振一郎の「「ナウシカ読解-ユートピアの臨海-」は
このノージック(とアーレント)の論を引用しながら論を進めていた。
東がハーバマスとアーレントを現実的な面から取捨して
ローティとノージックを引用していたことも重ねて考えると興味深い。

ノージックが論駁したロールズの「正義論」の新訳がでて
サンデスのブームもあって、「正義」論が取りざたされる中
「ナウシカ」をもう一度、リバタリアニズムや正義論といった
角度から読み直すということも必要な作業になると思う。

そして何より、9・11以後、また3・11以後に「ナウシカ」を読むということに
どういう意味があるのか。あるいは、この二つの出来事を経験したあとに
「ナウシカ」はどう読めるのかという問題が、私にとっての差し当たっての
もっとも関心のあることである。
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この記事へのコメント

KK
2012年02月28日 13:08
ノージックの名前がここ数日ちらちら出てくるのでそろそろでてくるか~と思っていたら出ましたね稲葉のナウシカ本。浅羽通明の『アナーキズム』は読まれましたか。ノージックの話がでてきます。(余談ですがブログ主さまと目黒駅改札口で初めてお目にかかったとき「浅羽さんとよーにた顔のひとやなー」と思ったのはここだけの秘密です。いえ彼とは会ったことないんですが)
KK
2012年02月28日 13:08
訂正。目黒→目白
はやおとうじ
2012年02月28日 22:53
浅羽通明氏については
ニセ学生マニュアル三部作を読んだ程度で
彼の立ち位置などには不案内なので
ましてお顔のことなど全くしりませんでした。
KKさんがそんなことを考えていたなどとは
夢にも思いませんでした(笑)
大絶画
2012年04月29日 20:16
ジアス演出部様

はじめまして大絶画と申します。
復刊ドットコムに『アナーキー・国家・ユートピア』の文庫化をリクエストしました。
管理人様をはじめ記事をご覧の皆様の投票しだいで文庫化される可能性があります。投票へのご協力をお願いします。
なおこのコメントが不適切と判断されたら削除なさってください。

『アナーキー・国家・ユートピア』投票ページ
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=55133

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