戦火の馬 雑感

いい映画だと思った。
2時間25分が長いと思わなかった。

馬を愛する心は、イギリス人もドイツ人もフランス人も変わりがない。
多分、その他の国のにおいてもだろう。

一頭の馬が歩んだ数奇な運命。
その局面局面で関わった人びとの生と死。そう、むしろ死の方が圧倒的に多い。
勇猛果敢に突撃し、初陣で散る若いイギリス人将校
母との約束を守って、弟を守ろうとして、結局兄弟で死ぬドイツの少年兵
祖父と暮らす身体の弱い、でも気の強い、フランス人の少女
上官に逆らえないものの、必死に馬をかばうドイツの馬係の兵士
有刺鉄線にかかった馬を助けようと前線に出て行く、イギリス兵とドイツ兵
二人は針金を外しながら、戦争中なのに(だから緊張感はあるものの)
冗句を交えながら、馬を助ける。最後にどっちが持っていくかをコインで決める。
毒ガスで目が見えなくなった飼い主と負傷して殺されそうになる馬の偶然の出会い
軍医や上官の心遣い
戦争が終わり、競売にだされた馬を孫(フランス人少女)の形見として競り落とす老人
しかし、それを最後には飼い主の青年に引き渡す
その馬が常に付けていたお守りは、飼い主の父が所属していた義勇軍の旗
父はその旗を誇りと思えなかったが、自分の家に戻った青年はその旗を「誇り」
として父に手渡す。

みんな死んだ。
一次大戦の騎馬隊は、重火器や戦車などが登場した戦場で
もろくも散っていく。
砲台を牽引するためにどんどん死んでいく馬。
無数の馬の屍体が画面には映る。

そして、人間も死んでいく。突撃をくり返し、その都度、あっけなく
儚く散っていく命、最後には毒ガスで勝ったと思った方が一気に
殺されてしまう。

馬は生き残り、青年は約束通り馬と再会し故郷に帰る。

映画の中で特筆すべきは
風景の美しさ。私はこの絵のタッチはどこかで見た感じがするな
と思ったら撮影監督のヤヌスカミンスキーは、「潜水服は蝶の夢を見る」も手がけていた
あとはジョンウィリアムズの音楽、これは文句なしによい
役者も巧い人が多い。新人のジェレミー・アーヴァインは大健闘
フランス人の祖父役のニエル・アレストリュプは、前出の「潜水服は蝶の夢を見る」にも出ていた。
渋い演技で涙を誘われる。
ピーター・ミュラン、エミリー・ワトソンも素晴らしい。

映画は戦争についてものを申さない。でも
見ればわかる。馬は台詞を発しない。
でも見ればわかる。
馬は残酷に扱われている。
でもイギリス人もドイツ人もフランス人も
馬を愛している。
そのことが、なにより
あらゆることを語っている。
画像


追伸
宮崎駿はこの映画を見てどんな感想をもったのか知りたい。
『ナウシカ』でカイが死んだとき、騎兵たちが敬意を示すシーンを
思い出したからだ。

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  • 馬が繋ぐもの

    Excerpt: 8日のことですが、映画「戦火の馬」を鑑賞しました。 翻弄される馬の軸から見る第一次世界大戦 馬 ジョーイがさまざまな人の手に移っていく その各々のエピソードからなる構成で もう クラシック映画の.. Weblog: 笑う学生の生活 racked: 2012-03-18 09:40