王蟲の森とシュワのはらわた -永瀬唯の「ナウシカ」論

永瀬唯氏の宮崎駿論は、黙示的で読みこなすのに
やや慣れというかコツが要る気がする。
言葉もやや過剰でともすると述べていることの
鋭さを見落としそうになる。

表題の文章は1995年9月の『ユリイカ』「特集 昆虫の博物誌」に発表され
後に単行本「欲望の未来-機械じかけの夢の文化誌」に所収された。
副題は「宮崎駿『風の谷のナウシカ』の能動的ニヒリズム」である。

この短い評論にはいくつかの示唆がある。
1 物語中の人類が、実は清浄な世界ではいきられないという設定は、後から導入されたものであろう。
2 それはニーチェにきわめて近い思想領域である。
3 これによって滅びを目前にした世界を英雄が救うという神話的物語からナウシカを救っている。
4 同時にそれは予定調和のサヨク的物語構図からの離脱でもあった。

1の一つの証左として
第1巻の冒頭でユパの放った鏑弾に反応して巨神兵の
化石の内部を駆け上がるシーンをあげている。
よく見ると頭部の内部はコクピットになっていて
レーザー砲の発射装置とおぼしき引き金が見えるという。
これをして、第1巻では巨神兵はロボット兵器くらいの構想し
かなかったはずだとする。これは面白い。

シュワの墓所に隠された人間の卵から生まれる
今の人類よりずっとマシな人間たちは「森の人」にそっくりだ
という指摘もしている。これも面白い。

私の『ナウシカ』論も、この評論から多くの影響を受けたことを述べておきたい。
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この記事へのコメント

KK
2012年11月19日 06:11
>シュワの墓所に隠された人間の卵から生まれる
>今の人類よりずっとマシな人間たちは「森の人」にそっくりだ

登場しなかったのにそっくりとなぜ断定できるんだろう。
はやおとうじ
2012年11月19日 08:48
KKさま。コメントありがとうございます。
私の要約の仕方が悪かったかもしれません。
永瀬氏の意図が伝わってないかもしれません。

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