博士論文の『ナウシカ』論通る

本日、大学で博士課程の修了者の発表があり
なんとか通った。

「マンガ版『風の谷のナウシカ』における生成論的研究
-コミックス成立時における改稿から見た作品分析-
A Generative Approach to the “Nausicaa, the Valley of the Wind” Manga:
Analysis from the Point of the View of How It Has Been Stylistically
Polished before Coming Out in Book Form after Published in Magazine」

という論文で
主査は夏目房之介先生、副査は中条省平先生と佐々木果先生
佐々木先生は「ササキバラゴウ」という筆名でも評論をお書きになっている方です。

内容は、マンガ版『ナウシカ』の連載時とコミックス刊行時の改稿を
比較検証しながら、『ナウシカ』における一種の「どんでん返し」を
宮崎駿がどの時点で発想し、そちらに舵を切ったかを論じたもの。

その前段階で、『ナウシカ』の制作に至った経緯
先行作品(主にマンガ)分析
マンガ版の表現論的分析
先行研究の分析検証も行っている。

『ナウシカ』執筆時には、世界史的な大事件が立て続けに起こった。
天安門事件、ベルリンの壁崩壊、冷戦終了、東欧・ソ連崩壊、ユーゴ紛争
昭和天皇崩御、手塚治虫の死…
そのなかで宮崎は「転向」したと自ら語るのだが
彼の言う「転向」とはいかなるものだったのか。
母・美子の口癖「人間はしかたのないものだ」
と司馬遼太郎・堀田善衛の言った「人間は度しがたい」との共通点
父のニヒリズム…
アニメとは根底から違う結末にたどり着く経緯についても分析した。

また先行作品としては「砂漠の民」「シュナの旅」についてかなり詳しく検証している
他には「ハンスの帰還」や短編アニメ「On Your Mark」と『ナウシカ』の関連も検証した。

しかし、表題にあるようにこの論文は、アニメージュ連載時とコミックス刊行時の
改稿にスポットを当てて表現領域から作品の制作経緯に迫ろうとする所に
他の研究との差があると自負している。
「加筆」…1130コマ
「さしかえ」…89コマ
「描き直し」…59コマ
「挿入」…50ページ
「台詞等の変更」…135箇所
という膨大な改稿を一つずつ当たる方法論的基盤は
文学研究における校異研究にある。こうした方法論を
今後のマンガ研究の一つの基礎のおきたいと言うのも大きな執筆動機である。

いずれにせよ、このブログでは書ききれないが
4年間の悪戦苦闘の結晶が今回の博論である。

内容的にまだまだという部分はあるが、今できる精一杯だと思っている。

指導して頂いた先生方、院生の皆さん、応援してくれた方々、家族に心から感謝したい。
有り難うございました。

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この記事へのコメント

KK
2014年03月10日 22:41
プロデューサー氏は、明日で三十周年であると私が告げても「あっそうなの」と淡々としておいででした。新事実がいくつかある取材でした。
はやおとうじ
2014年03月11日 13:22
新たな著書につながる取材だったのでは。楽しみにしております。

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