めぐり逢わせのお弁当  雑感(ネタバレあり)

原題 The Lunchbox 2013 インド/フランス/ドイツ 
監督/脚本 リテーシュ・バトラ

家内が2泊三日のキャンプに行っていないので
前からちょっと見たいと思っていた「めぐり逢わせのお弁当」を
岡谷のスカラ座に見に行く。

インド最大の都市、ムンバイを舞台に
間違って配達された弁当箱の中に入れた手紙を通して
孤独な主婦と、妻に先立たれた定年間近の初老の男の
心の交流を描いたもの。秀作である。

ムンバイには弁当を配達する仕事があるそうで
これに従事する人をダッパーワーラーというそうだ。
ダッパーワーラーは5000人ほどいて、なんと20万個の
弁当を職場に届けている。しかも誤配は殆どないという。
映画の中にも出てくるが、ハーバード大学の教授も
絶賛したというすごいシステムらしい。

朝弁当を持って出ればいいのでは、とも思ってしまうが
温かい弁当を食べさせたいということなのかもしれない。

映画ではこの殆どない誤配が起こり、
家庭を省みない夫のもとにではなく、違う男に弁当が届く。
次の日、女は手紙を弁当に入れる。そこからちょっと変わった文通が始まる。

この映画で感心したことが何点かある。
一つは、とても抑制が効いていて、過剰な部分が殆どないこと。
二つ目は、カメラのアングルがとてもいいこと。通勤列車の群れを撮る絵はそれ以上の美しさを見せるし
べランダを半分開いた窓から映す絵もきれいで、とても自然だ。
三つ目は、役者がとてもいいこと。主婦イラを演じるニムラト・カウルは寂しさの中に
美しさを持っているし、初老の男、サージャンを演じるイルファーン・カーンは誰がみても
名優であるとわかる力量の持ち主だ。

弟の自殺、父の死と母の言葉、夫の浮気、寝たきりのおじとその面倒をみるおば。
イラを取り巻く環境はとても過酷なのだが、しかし、夫は少ししか出てこないし
言い争う場面もない。母は父の死のあと「お腹がすいた」という一言で、
父を愛していなかったことを表す。
作品前半で無理心中をする母子が出てくるが、その心中した女が置いたように
イラが最後に近いシーンでベッド際のテーブルにアクセサリーを外して置くシーンなどの
繰り返しもとてもよく効いている。

そして「間違った電車でも正しい場所につく」という格言めいた言葉が果たして
その通りだったのか、それともそんなことは起こらないままなのか…
映画は答えを出さない。そこがとてもいいと思った。
ハッピーエンドではないが、バッドエンドとも言えない。たた寂しい映画ではある。
その悲しさや寂しさが、でしゃばりすぎずしっとりと一つにまとまっている。
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