「生きて帰ってきた男」雑感

小熊英二 2015.6.19  岩波新書1549
副題は「ある日本兵の戦争と戦後」
第14回小林秀雄賞受賞

面白いと思ってあっという間に読み終える。
面白いというのはとても興味深いということでもあり
また新鮮で発見もある。
しかし、ここに書かれている小熊謙二という人物は
特別な傑物ではないし、成功者というわけでもない。
むしろ、戦争に取られてすぐにシベリアに抑留され
帰ってきたら肺結核にかかり、仕事は次々に変わり
豊だったことは殆ど無い人物である。
物事を的確に冷静に分析するちからは凄いと思うのだが
本人はそんな事は思ってないようで、
要領の悪い、特に何が秀でているというわけでもない
人物だという認識の様子だ。

1925年に北海道佐呂間町に生まれてからの人生が
その時の時代の様子を丁寧にさらいながら書き進められていく。
それは決して大河ドラマではないのだが
読み終えたときに感じる確かな手触は
一市井人の生き様の中にある〈リアル〉からだろうか。

だとしたら、書き手の姿勢とその筆致も大いに評価されるべきだろう。
とにかく、これを読むと生きるということがどういうことか
考えられるし、私たちが知らぬ間にすり込まれている先入観も
そぎ落としてくれる力がある。
読んで良かったと思える本である。
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