『575』に込めた密かな想い

『575』は上野原高校にいた時に生徒と書いた台本で、
上高演劇部を初の関東大会に導いた作品だ。
この本は1966年と2016年をリンクさせて
物語が進行するという構造を持っていたが
私がリンクに少々こだわりすぎて、物語を複雑にさせた
きらいがある。今となってみればわかることだが
当時はそれでいいと思っていた。
かくのごとく瑕疵の多い本になってしまったことに
対しては、共同制作者だった当時の部長に済まない
思いでいっぱいだが、実がこの本には
私が込めたもう一つの仕組みもある。

50年前の先輩の作った「七・七」に「五・七・五」を付ける
という宿題をめぐる文芸部の物語である。

その作品の中に私は二人の若くして散った文士の句と歌を忍ばせた。
一つは川口重美の
 〈霜柱青春の骰子七も出でよ〉
もう一つは岸上大作の
 〈断絶を知りてしまいしわたくしにもはやしゅったつは告げられている〉
である。

この二つの作品は『575』のモチーフと深いところでつながっている。
しかし、それに気づく人はほぼいないであろうことも予想していた。
二人とも今となっては知る人の少ない俳人・歌人であり、
そもそも芝居を観る人がこの作品を知っている可能性はほぼ0%だからである。

してみれば、こんな仕掛けもただの自己満足以外の何物でもないが
もしこの二人の生涯とその評価を知ったうえで
なぜこの句や歌をこの中に置いたかを振り返ると
また、違う角度からこの作品を眺めることができるかもしれない。
IMG_5409.JPG
 

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