「オリジン・ストーリー 138億年全史」雑感

オリジン・ストーリー 138億年全史
デイヴィッド・クリスチャン(柴田裕之 訳)
2019.11.15 筑摩書房

ネタバレあり 注意!

評判の本なので読んでみた。なるほど面白い。読み応えたっぷりだ。
我々人類のオリジンストーリーをビッグバンからの138億年の歴史として
語っている。それは、エネルギーの話、エントロピーの話である。
ビッグバンを臨界1として、恒星の誕生を2、銀河の誕生を3、
分子ができて衛星が誕生したのを4、生命の誕生を5、人間の誕生を6、
農耕の開始を7、産業革命を8としてそれぞれがエネルギーの流れの変化と
世界の構造が複雑化することに対し「エントロピー税」を払った時期として扱っている。
人類は望みせず予想もしないまま地球の運転手になってしまった。しかし、何も知らないため
産業革命で化石燃料のエネルギーで地球が何十億年もかけて築いてきたサーモスタットを
ことごとく破壊し今に及んでいる。もっとも地球上では何度も生物圏は壊滅的なダメージを
受けてきた。しかし今は人類という生物が地球規模でそれを行ってしまう可能性があるということだ。

ユーモアに満ち気の利いた筆致で138億年が名残惜しくなる速度で語られてゆく。
ビッグバンを語りながらビッグバンに人類が辿り着いたサブストーリーも語って
重層的に、しかしモッタリとはせずある意味軽快に物語は続く。
そして遠い遠い先に太陽が赤色巨星となり惑星を蒸発させ白色矮星となり、さらにさらに
時は過ぎ全ての恒星が死に絶え、無数のブラックホールが食い合い、肥大化したブラックホールが
数個残るだけになって10の100乗年ほど膠着し、それらも縮小して、エントロピーはあらゆる構造や
秩序を破壊し尽くし一つの宇宙が終わる。
もっともエントロピーにはまだまだ他の仕事が残っているのかもしれないが…
という終わり。

あらゆる分野の話が入っている。考えてみるとかつてはそうしたハイブリッドな知が科学だったのだろう。
タコ部屋的に研究分野が細分化され、全体像が見えてこない時代だからこそ
ビッグストーリーが求められていると言うことだと思う。
時間があればぜひ368ページの読書に挑戦していただきたい。オリジンストーリー.jpg

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